2026/07/08 19:00

山梨県甲府市は、「宝石のまち」として知られています。
その言葉だけを聞くと、多くの人は、宝石が採れる土地を思い浮かべるかもしれません。
けれど、実際は少し違います。
現在ジュエリーに用いられるダイヤモンドやルビー、サファイアの多くは海外から届きます。
真珠も、この土地で育まれるものではありません。
では、なぜ甲府は「宝石のまち」と呼ばれるのでしょうか。
その答えは、素材ではなく、人の手によって育まれてきたものづくりの文化にあります。
山梨県は、古くから良質な水晶の産地でした。
江戸時代には、その水晶を磨く技術が育まれ、数珠や印鑑、置物などがつくられるようになります。
やがて、その研磨技術は水晶だけにとどまらず、ダイヤモンドやルビー、サファイアといった宝石へと受け継がれ、さらに鋳造、プレス加工、石留め、磨きなど、ジュエリーづくりを支えるさまざまな技術へと発展していきました。



現在の甲府には、それぞれの工程を専門とする職人や工房が数多く集まり、一つのジュエリーを完成させるまでの工程が、この土地の中でつながっています。
つまり、甲府は宝石が生まれる場所ではなく、宝石がジュエリーへと生まれ変わる場所なのです。
私たちが甲府でものづくりを続ける理由も、そこにあります。
どれほど美しい素材であっても、それだけでは装身具にはなりません。
金属には適切な厚みが求められ、わずかな曲線にも意味があり、磨きの工程一つで表情は大きく変わる。
人の手が介在することでしか生まれない美しさがあります。


「宝石のまち」。
その言葉が受け継いできたのは、宝石そのものではありません。
素材に価値を与え、人の手でジュエリーへと昇華させる技術。
そして、その技術を絶やすことなく受け継いできた人たちの存在こそが、この街の財産なのだと思います。
私たちもまた、その長い時間の延長線上でものづくりを続けています。
受け継がれてきた技術に敬意を払いながら、現代の暮らしにふさわしいかたちへと仕立てていくこと。
それが、MONICEのものづくりです。
〈水晶〉
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