2025/12/05 20:00
■ 暗闇は光を育てる場所
暗闇は、ときに光を育てる場所なのだと思います。
夜の街並みが静かに輝くこの季節になると、
パヴェが生まれたあの物語に、ふと心が惹かれます。

■ パヴェの起源 ― 蝋燭だけが灯る宮廷で生まれた技法
15〜18世紀、当時の宮廷は暗く、唯一の光源は蝋燭(ろうそく)だけ。
宝飾職人たちは、“影の中でこそ美しく輝かせる”ことを目的に、宝石を金属の中へ深く沈めて留める技法を磨いていきました。
大粒の宝石よりも、
小さな粒が寄り添うことで生まれる、均一で繊細な光。
この価値観こそ、パヴェの精神の始まりです。
こうした閉じた構造は、現在の
シークレットセッティングやクローズドセッティングの原点にもなっています。
■ ダイヤの輝きを操る ― 光学的な“沈め方”の理由
暗い室内では、光を逃せば宝石は輝きません。
そのため職人たちは、
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光が反射する角度
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石を沈める深さ
-
表面の見え方
宝石の並べ方
をすべて計算し、“光を閉じ込める構造”を完成させます。
つまりパヴェとは、
「暗い場所で最も美しく光らせるための科学」
だったのです。
■ パヴェは星空の断片 ― pluie d’étoiles(星の雨)
18世紀のフランスの宝飾職人は、パヴェを
pluie d’étoiles(星の雨)
と呼びました。
夜会の薄暗い部屋で蝋燭の光を受けると、
無数のダイヤが星屑のように瞬き、
まるで夜空を身につけるように輝いたからです。
パヴェの起源には、
“光を読む哲学”と
“天を見上げる感性”が息づいています。
■ “大きさより光の質”を尊ぶ美意識
17〜18世紀の宮廷では、大粒の宝石は時に「成金の象徴」とされました。
それに対し、細かな粒を均一に敷き詰め、
静かに、均質に、奥ゆかしく輝く光
こそが洗練であり、本物の贅沢とされた時代がありました。
この価値観は、現代のシンプルジュエリーやパヴェにも直結しています。
■ 貴族・宮廷・職人の「光の哲学」
暗い宮廷の中で、人々は光の動きを計算して装いを整えました。
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正面からは控えめ
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斜めからだけ強く輝く
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ダンスのターンの瞬間にだけ光る
そんな一瞬の美しさを石に託す“光の設計”が、
現代のパヴェやクローズドセッティングの角度調整にも繋がっています。
パヴェは、
“暗闇で輝きを最大化する知恵”
の結晶なのです。
■ パヴェは祈りのためのセッティングでもあった
「舗装された石畳」が語源とされるパヴェ。
しかし、もう一つのロマンがあります。
それは、
“均一な光を並べ、天に捧げる”祈りの象徴
としてのパヴェ。
蝋燭の光を受けて舞い上がる無数の光は、
夜空へ捧げる祈りそのものと捉えられていました。
■ ダイヤは“星のかけら”という起源
古代インドではダイヤは
「落ちてきた星の破片」
と呼ばれ、
ヨーロッパでは
「天の力の象徴」
と考えられていました。
パヴェの“星屑”という思想は、
この古い信仰と美意識の延長線上にあります。
■ MONICEのパヴェが受け継ぐもの
MONICEが仕立てるジュエリーには、
この
“光を計算し、静かに最大化する美意識”
が息づいています。
大きさや華美さではなく、
粒が集まり生まれる光の質と精緻さ。
その奥ゆかしさこそ、時代を超えて愛される理由です。
光と祈りと美意識の物語。
それがパヴェジュエリーに宿る、静かな真価なのです。
■ MONICEのパヴェジュエリーのご紹介
2025年12月5日(金)18:00より、
この歴史と哲学を受け継いだ、MONICEのプレミアムシリーズ新作ジュエリーが発売開始となりました。
フープピアスやリングなど、一粒一粒の輝きに職人の手仕事と思いが宿る作品です。
ぜひオンラインストアよりご覧ください。
この冬、あなたの日常にそっと寄り添う光をお届けします。





